オイルの基礎知識

エンジンオイルの日常点検、正しいやり方は? 9月「自動車点検整備推進運動」強化月間に見直したい4項目

9月・10月は国土交通省などによる「自動車点検整備推進運動」の強化月間。エンジンオイルの日常点検は、レベルゲージの見方と量の判断が要点です。色や匂いで分かること、分からないこと、レベルゲージがない輸入車の確認方法まで解説します。

エンジンオイルの日常点検、正しいやり方は? 9月「自動車点検整備推進運動」強化月間に見直したい4項目

エンジンオイルの日常点検は、車の維持管理のなかでも判断が難しい項目です。「色が黒いから交換」といった俗説も広く流通しています。

9月に入りました。国土交通省と自動車関係団体で構成される自動車点検整備推進協議会などは、毎年9月・10月を「自動車点検整備推進運動」の強化月間としています。この時期に整備工場やディーラーで「点検しませんか」と声をかけられるのは、この運動が背景にあります。

この記事では、判断できることと判断できないことを分けて整理します。

エンジンオイルの日常点検とは何を指すのか

日常点検整備は、道路運送車両法にもとづいてユーザー自身が行う点検です。自家用乗用車では、点検項目が15項目に整理されています。

15項目の内訳

エンジンルーム内 エンジンオイルの量、冷却水の量、ブレーキ液の量、バッテリー液の量、ウィンドウォッシャー液の量、ファンベルトの張り具合。

車のまわり タイヤの空気圧、亀裂や損傷、異常な摩耗、溝の深さ、ランプ類の点灯や汚れ。

運転席 ブレーキペダルの踏みしろとブレーキの効き、パーキングブレーキの引きしろ、ウィンドウォッシャーの噴射状態、ワイパーの拭き取り、エンジンのかかり具合と異音、エンジンの低速・加速の状態。

実施の頻度

自家用乗用車には、事業用車のような毎日の実施義務はありません。走行距離や運行状態から判断した適切な時期に行うこととされています。

オイル量については、月に1回、あるいは長距離を走る前に見ておく程度が現実的です。

なお、自家用乗用車には1年ごとの定期点検(12か月点検)もあります。エンジンオイルの日常点検は、その代わりになるものではありません。

内部リンク:車種別のオイル選びガイド →

オイルレベルゲージの正しい読み方

手順を間違えると、読み取れる数字が変わります。要点は3つです。

1. 平坦な場所に停める

傾斜地ではオイルパン内の油面が傾きます。正しい量が読めません。

2. エンジンを止めてから待つ

走行直後は、オイルが各部に散った状態です。オイルパンに戻りきっていません。停止後に数分置いてから測ります。

待ち時間や、冷間で測るか暖機後に測るかは車種によって指定が異なります。取扱説明書の指示に従ってください。ここは車種差が大きい部分です。

3. 一度抜いて拭き、差し直す

最初に引き抜いたゲージには、差したまま付着した油が伸びて残っています。ウエスで拭き取り、奥まで差し直してもう一度抜くと、正確な油面が読めます。

読み方と注意点

ゲージ先端には2つの印があります。F・L、MAX・MIN、上限・下限などの表記です。この間にあれば適正です。

上限を超えているのも異常です。 量が多すぎるとクランクシャフトが油を撹拌して泡立ち、潤滑や油圧に悪影響が出ます。継ぎ足しは少量ずつ、測り直しながら行ってください。

レベルゲージがない車の場合

近年の輸入車を中心に、ゲージを持たず電子式センサーで油量を検知する車が増えています。車載ディスプレイのメニューから確認する操作になります。

ゲージが見つからないからといって、点検箇所がないわけではありません。該当する場合は取扱説明書の「エンジンオイル」の項を確認してください。

色と匂いで分かること、分からないこと

ここが最も誤解の多いところです。

黒さは交換時期の指標になりません

エンジンオイルには清浄分散剤が配合されています。燃焼で生じたすすや汚れを取り込んで分散させる働きです。つまり黒くなるのは、オイルが仕事をしている結果でもあります。

とくにディーゼルエンジンでは、交換して数百キロで黒くなるのが正常です。

色から読み取れる異常

一方で、次のような状態は異常のサインです。

  • 白濁・乳白色:冷却水や水分の混入が疑われます。放置できません
  • 金属粉のような光沢:内部摩耗の可能性があります
  • 強いガソリン臭:燃料希釈が進んでいる可能性があります
  • 強い焦げ臭:過度な熱を受けた痕跡です

該当する場合は、量の判断ではなく整備工場での点検が必要です。

見た目に現れない劣化

色や匂いが正常でも、劣化は進みます。オイルは熱と酸素で酸化し、高いせん断力を受け続けることで粘度が低下していきます。

これらは見た目に現れません。だからこそ交換は、距離と期間で管理する設計になっています。

オイルの減り方と交換時期の判断

オイルは走行にともなって一定量消費されます。どこまでが正常な消費かはエンジンによって異なります。メーカーが許容範囲を定めている場合もあるため、取扱説明書で確認してください。

見るべきは「減り方の変化」

判断のポイントは変化です。これまで数か月で下限に届かなかった車が、急に補充を要するようになった場合、漏れか燃焼による消費が進んでいる可能性があります。

駐車場所に油染みがないかも併せて確認してください。

シビアコンディションに該当するか

交換時期は、取扱説明書に指定された距離・期間が基準です。そのうえで、次のような使い方は「シビアコンディション」に該当します。指定距離の半分程度を目安とするのが一般的です。

  • ごく短距離の走行を繰り返す
  • 渋滞路での低速走行やアイドリングが多い
  • 悪路や山道の走行が多い
  • 高温・低温環境での使用が多い

猛暑のなかで渋滞にはまる機会が多かった車は、走行距離が伸びていなくてもオイルへの負荷は小さくありません。

エンジンオイルの日常点検で異常が見つかったら

日常点検は、異常を見つけるための行為です。整備の代わりではありません。

量が下限を割っていた、色に異常があった、減り方が変わった。いずれの場合も、次のアクションは整備工場やディーラーへの相談になります。

交換するオイルを選ぶ段階では

粘度(5W-30、0W-20など)だけでなく、車両メーカーが定める承認規格に適合しているかが重要です。

とくに輸入車では、メーカー独自の承認を取得したオイルを使うことが前提の設計になっている車種があります。

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