オイルの基礎知識

VW 504 00 / 507 00 とは何か ― フォルクスワーゲン・アウディのオイル選びで最初に見るべき承認規格

VW 504 00 / 507 00は「規格」ではなくフォルクスワーゲンが与える「承認」です。2つの番号の違い、508 00が上位互換ではない理由、「相当品」を選んだときに何が起きるのかを、確認手順まで含めて整理します。

VW 504 00 / 507 00 とは何か ― フォルクスワーゲン・アウディのオイル選びで最初に見るべき承認規格

VW 504 00、そして507 00。フォルクスワーゲンやアウディに乗っていてオイルを選ぼうとすると、必ずこの番号にぶつかります。取扱説明書にも、ディーラーの見積書にも、オイル缶のラベルにも出てくる番号です。

この番号を正しく理解すると、オイル選びの判断が一気に単純になります。

逆に、ここを曖昧にしたまま「5W-30なら大丈夫だろう」と選ぶと、車両が想定していないオイルを入れてしまう可能性があります。

VW 504 00 は「規格」ではなく「承認」

最初に押さえるべき点です。

SAE粘度やAPI、ACEAは業界団体が定めた規格です。これに対しVW 504 00や507 00は、**フォルクスワーゲングループが自社の試験を通過した製品に与える承認(Approval)**です。

承認を取得した製品は、メーカーの承認品リストに掲載されます。逆に言えば、リストに載っていない製品は、どれだけ高性能でも「承認品ではない」ということになります。

この違いが、後述する「相当品」の問題につながります。

内部リンク:粘度表示とメーカー承認規格の読み方 →

VW 504 00 と 507 00 の違い

大まかな区分は次のとおりです。

番号主な対象
VW 504 00ガソリンエンジン向け
VW 507 00ディーゼルエンジン向け

ただし実務上、この2つはセットで扱われることがほとんどです。

流通している製品の多くが504 00と507 00の両方の承認を同時に取得しており、ガソリン・ディーゼル兼用として販売されています。ラベルに「VW 504 00 / 507 00」と併記されているのは、そのためです。

粘度は5W-30が標準

この承認では粘度が実質的に固定されています。「どの粘度を選ぶか」で迷う余地がありません。 選ぶ側にとっては、むしろ楽な話です。

技術的な位置づけ

ACEAのC系列に近い、ミドルSAPS設計にあたります。

排出ガス後処理装置を保護するために硫酸灰分・リン・硫黄の含有量を抑えます。そのうえで、高温高せん断条件での粘度(HTHS粘度)は高めに確保する。そういう設計です。

内部リンク:ACEA規格の読み方 ― C1からC6まで →

なぜフォルクスワーゲンは独自の承認を持つのか

理由は大きく2つあります。

排出ガス後処理装置の保護

DPF(ディーゼル微粒子フィルター)やGPF、三元触媒は、オイルに含まれる灰分や特定の元素によって性能を損ないます。

504 00 / 507 00がミドルSAPS設計になっているのは、この保護のためです。フルSAPSのオイルをDPF搭載車に使い続ければ、フィルターの目詰まりを早める可能性があります。

長い交換インターバルへの対応

フォルクスワーゲングループは、走行条件に応じて交換時期を可変とするサービス方式を採用しています。その長いインターバルにわたって性能を維持できることを、自社の試験で確認する必要があります。

504 00 / 507 00は、その確認を通過した製品に与えられる承認です。

ここは重要なポイントです。長いインターバルは、承認オイルの使用を前提に設定されています。 承認外のオイルで同じ距離を走らせることには、相応のリスクがあります。

508 00 / 509 00 は「上位互換」ではない

最も誤解が多い部分です。

フォルクスワーゲングループには、504 00 / 507 00より新しい番号として508 00および509 00があります。番号が大きく、後から登場したため、「新しくて上位の規格」と受け取られがちです。

これは誤りです。

508 00 / 509 00は省燃費を指向した低粘度カテゴリで、対象となるエンジンが異なります。504 00 / 507 00の後継でも上位版でもなく、別のカテゴリです。

したがって次のことが言えます。

  • 508 00指定の車に504 00 / 507 00のオイルを入れるのは適合しない
  • 504 00 / 507 00指定の車に508 00のオイルを入れるのも適合しない

「新しい番号のほうが良さそう」という発想は、この体系では通用しません。自分の車がどの番号を指定しているかだけが判断基準です。

古いモデルの場合:502 00 / 505 00 / 505 01

年式の古い車両では、504 00 / 507 00ではなく、502 00(ガソリン)や505 00 / 505 01(ディーゼル)が指定されている場合があります。

これらは基本的に固定インターバルを前提とした承認で、SAPSの制限も異なります。同じフォルクスワーゲンでも、年式とエンジン形式によって指定される番号は変わります。

「VWだから504 00 / 507 00」という覚え方は危険です。 車検証の型式と年式を確認したうえで、取扱説明書の指定を見てください。

なお、ディーゼルエンジンのなかには、507 00の適用対象から除外されているエンジン形式が存在します。該当する場合、取扱説明書には別の番号が指定されているはずです。この点は必ず確認してください。

「VW 504 00相当」と書かれた製品はどうなのか

市場には「VW 504 00相当」「VW 507 00準拠」「メーカー規格をクリア」といった表現の製品が存在します。

これらが意味しているのは、承認を取得していないということです。

処方が近いだけの場合もあります。試験を受けていないだけで実質的に同等な場合もあります。しかしいずれにせよ、フォルクスワーゲン側の検証を経ていないという点は変わりません。

実際に問題になり得る2つの場面

メンテナンス記録との関係。 指定オイルの使用が前提となっている保証やサービスプログラムにおいて、承認外のオイルを使用していた場合、エンジン内部の不具合が発生した際の扱いが不利になる可能性があります。

交換インターバルとの関係。 前述のとおり、長いインターバルは承認オイルを前提に設定されています。承認を持たない製品で同じ距離を走らせるのは、根拠を欠いた運用になります。

購入時は、ラベルやTDS(製品技術資料)の表記を確認してください。「Approval」「承認取得」と書かれているのか、「meets requirements」「相当」と書かれているのか。この2語の差が、実質的な差です。

自分の車の指定を確認する手順

  1. 取扱説明書の「エンジンオイル」または「サービスデータ」の項を開く
  2. 粘度と承認番号の両方を確認する(承認番号のほうが本体です)
  3. その番号の承認を取得している製品に絞り込む
  4. 絞り込んだ範囲から選ぶ

取扱説明書が手元にない場合、メーカーがWeb上でPDFを公開していることが多いので、年式と型式を確認してから探してください。同じ車名でも年式で指定が変わります。

判断に迷う場合は、車台番号を伝えてディーラーまたは輸入車を扱う整備工場に確認するのが確実です。車台番号があれば、その個体の正確な仕様が特定できます。

RAVENOLでVW 504 00 に対応する製品

RAVENOL VMP SAE 5W-30は、欧州主要メーカー各社の正式アプルーバルを取得した製品です。卓越した耐摩耗性とロングライフ性能を兼ね備えています。

前章で説明したとおり、「相当」ではなく「承認」であることが、この領域では決定的な差になります。 とくに交換インターバルの長いフォルクスワーゲングループの車両では、承認取得の有無が実際の運用に直結します。

内部リンク: